「被相続人と同居していた長男が勝手に預金から引き出し遺産を使っていた」
という問題が発生し、相続人同士の争い・トラブルの原因になった事例は意外と多くあります。
生前のうちも代わりに預貯金を被相続人から頼まれ引き出していた場合もあるでしょう。
その延長で亡くなった後も、引き出し利用してしまえば、使い込みと言われてしまいます。
金銭的なことなので、意外と争いやトラブルに発展してしまうので、注意が必要です。
遺産は相続人に割当て相続されるものです。相続人のうちの1人が勝手に使っていた場合、使ってしまった分を取り戻せます。
相続人のうち誰かが勝手に預金口座から引き出し使い込んでいた場合、取り戻す方法を解説します。
遺産相続
遺産相続とは、相続権をもった相続人が法令に則て割り当てた分です。遺言書があれば従いますが、無い場合は法令に従います。遺産相続分割協議の話し合いにより、決定します。
ただ、遺産分割協議は条件があり、条件を満たしていなければ、認められません。
条件は、遺産相続の権利をもつ相続人が全員参加し、同意が無ければならないということです。1人欠けても、反対意見が上がっても、認められません。
遺産相続権
遺産を相続する権利を持っているのは特定の親族のみです。
【割当順位】
- 配偶者
- 子
- 親
- 兄弟
優先順位、法的遺産に割り当てられた分遺産を相続します。遺産分割協議に参加しなければならない相続人に兄弟は含まれません。
勝手に使い込んでたことが分かったら
法的に割り当てられ遺産を相続するはずが、相続人のうち誰かが勝手に使い込んでいた場合、使い込んだ分取り戻すことが可能です。
では、勝手に使い込まれた遺産が分かった時、どのように対処したらいいのでしょうか。
使い込みの事例
遺産を勝手に使っていることが発覚し親族から不信、トラブルに発展したその事例を紹介します。
- 不動産を勝手に売却
- 生命保険を勝手に解約し保険金を着服
発覚しない様に隠しておいて後々気付かれると大きな争いに発展しかねません。
不動産の売却や生命保険解約は、勝手にしない、他の相続人に相談し、進めましょう。
勝手に使われた遺産を取り戻す
取り戻したい遺産、勝手に使われた分を取り戻すにはどうしたら良いのでしょうか。既に使い込んで手元に無い場合取り戻すのに時間が掛かりそうです。
法的に守られた遺産分割割合
遺産相続権を有する相続人は、法的に定められた割当分の遺産を受け取れる権利があります。
相続人同士、遺産を分ける割合について説明しましょう。
- 配偶者 1/2
- 子 1/4
勝手に使った疑いがある場合
勝手に使い込んだと疑いが生じた場合、話し合いをもち使い込みについて明らかにする必要があります。
被相続人の財産調査を依頼することも可能です。預貯金から勝手に引き出されていないか確認します。確認した上で勝手な引き出しが分かった場合は、返却を要請します。
この申し出に応じない場合、家庭裁判所調停により解決することもできます。
弁護士に相談、依頼します。代行もしてくれます。争い・トラブルに発展した場合顔を合わせる必要はありません。問題が大きく発展する前に早期に解決する必要があります。
早期解決を助けてくれるのが専門的な立場の弁護士でしょう。ぜひ気軽に相談してみましょう。
不当利得返還請求権には時効がある
遺産を勝手に使い込んでいることを発覚し、その使い込んだ遺産を取り戻せる権利を「不当利得返還請求権」と言います。権利には時効があります。
- 相続がスタートして10年
- 使い込んでから5年
これを過ぎてしまえば権利は消滅し取り戻すことは出来ません。勝手に遺産を使い込んだことを知り、取り戻すことを検討する際は、時効に注意しましょう。
取り戻し請求をするのに裁判を調停する場合は添付書類が必要です。
使い込みを防ぐ
相続人同士で使い込んだ等と争いになるのを防ぎたいものです。生前から防げます。同居している長男に預貯金の引き出しを依頼しているなら、その子を「任意後見人」にしておくと良いでしょう。
他に、自身の財産を信頼できる家族に依頼する「家族信託」を利用する方法もあります。老後、認知症等で管理が難しいとなる前に備え、信頼できる家族に財産を管理してもらうのです。
契約を結んでおけば、相続遺産で揉めることを防げます。
まとめ
遺産を相続人のうち誰かが勝手に使い込んでいるのではと疑いが生じたら、その疑いを本人に確認し、速やかに戻すように伝えましょう。
相談もなく勝手に預金口座からの引き出し使い込んでいたことに気付いたら、相続人で集まり話し合いをもつと良いでしょう。
ただ、使い込んだ疑いの本人が話し合いに参加しない、使い込んだことを認めたにも関わらず、戻さない場合、弁護士に相談することをお勧めします。
基本的に親族間での使い込みは刑罰にはなりません。専門的な立場からリードしてくれる弁護士に相談することで、対処してもらえます。